PIPは“Profilometry-based Indentation Plastometry”の略称です.

新しい発想に基づく材料試験法として,Plastometrexによって生み出されました.なお,“Profilometry-based”は“形状測定に基づく”,“Indentation”は“押込み”(硬さ試験で使用),そして“Plastometry”は“塑性現象の定量化”を意味しています.

PIPでは,材料の応力-ひずみ曲線を,押込みで生じたくぼみ(圧痕)のプロファイルに基づき,有限要素法解析を用いて求めます.図1に示す3種のステージがシームレスに実施できるよう,試験装置がデザインされています.

図1 PIP試験の3種のステージ

押込み

図2のプラストメータでは,まず,試料に圧子を押込んでくぼみ(圧痕)を形成します.球圧子から得られるくぼみ(圧痕)の大きさは,深さ~100-200 μm,直径~1 mmです.これはナノインデンテーションと比べてはるかに大きいので,PIPでは個々の粒ではなく,バルク材の応答が調べられることになります.

図2 ベンチトップ型プラストメータ

続いて,プラストメータに内蔵されたプロフィロメータが,くぼみ(圧痕)のプロファイルを測定します.

モデルと最適化

有限要素法ソフトを用い,押込み試験のモデルを解析します(仮の塑性パラメータを適用).得られたくぼみ(圧痕)のプロファイルが測定結果と良好に一致するまで処理を繰り返し,最適な塑性パラメータを求めます.図3には,最適化後のくぼみ(圧痕)プロファイルと応力-ひずみ曲線を示します.

Two graphs showing indent profile, and stress strain curve

(a)くぼみ(圧痕)のプロファイル         (b)応力-ひずみ曲線

図3 最適化後のくぼみ(圧痕)プロファイルと応力-ひずみ曲線

プラストメータには,有限要素法と応力-ひずみ曲線の計算用ソフトウェアが付属しています.押込み実験から最適な応力-ひずみ曲線を求める過程は完全に自動化されており,それに要する時間は5分程度です.

PIPに対するさらなる情報

PIPの詳細については,以下の情報(Plastometrexのサイト:英文)をご覧ください:

Learn more about Indentation Plastometry

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