熱処理に関する教育プログラム
熱処理ゆがみと残留応力の発生メカニズムは,シミュレーションによってやっと明らかになってきました.しかし,この成果をやさしく説明するのは容易ではありません.ひとつには,材料工学,機械工学,コンピュータ工学などの複数の領域の知識が要求されるためです.どのような問題でも,その現象のメカニズムが分っているかどうかで解決のスピードが違ってきます.アリモテックでは,最新の成果をお伝えするために種々の教材を用意しております.
教育プログラムのご案内
アリモテックでは,熱処理に関する様々な教育プログラムをご用意しております.プログラムの内容は動画アーカイブとして整理しており,オンラインによる教育プログラムのご提供が可能となっております.
プログラムの一例
なぜ,熱処理により,鋼製部品にはゆがみや割れが生じるのでしょうか.このような質問に対する答えは,熱処理の通常の解説書には書かれていないような気がします.実は,この問題の本質は,シミュレーションとその結果の分析で,ようやく明らかになってきました.現在では,日本刀の焼入れによる反り,浸炭焼入れ・高周波焼入れ・窒化による表面の圧縮残留応力の発生をはじめとして,通説をくつがえすような現象についての理解が得られてきています.
今回新たに撮り下ろしたアーカイブ配信では,通常の講義では時間制限により解説できなかった内容も,端折ること無くすべて解説しています.
できるだけ分りやすく,熱処理によるゆがみ,残留応力,そして焼割れの発生のメカニズムや,浸炭焼入れ,高周波焼入れ,窒化のような実際のプロセスでの現象も解説しています.ゆがみと割れのメカニズムを理解するだけでなく,その知見を対策に活かす方法についても明確にしています.さらに,この分野に対する国内外での取組みから,その展望についてお話ししています.シミュレーションから得られた現象の本質を知ることが,現場での問題の根本的な解決に結びつくものであると確信しています.
1度の講義を受けてすべて理解することは難しい事です.自由に繰り返し視聴できるアーカイブ配信の利点を活かし,ぜひ活用ください.
1.基礎
1.1 熱処理とゆがみ
1.2 熱処理ゆがみ・割れの事例
1.3 材料の基礎
1.4 応力とひずみ
1.5 材料の強さ
1.6 弾塑性現象
1.7 はりのスプリングバック現象
1.8 熱膨張現象
1.9 クリープ現象
2.熱処理のシミュレーション
2.1 開発の経緯とシステムの概要
2.2 相変態とそのモデル
2.3 拡散解析
2.4 伝熱解析
2.5 応力・ひずみ解析
3.個別テーマへの適用
3.1 日本刀試験片の焼入れ
3.2 円柱の焼入れ
3.3 板の片側浸炭焼入れ
3.4 リングの浸炭焼入れ
3.5 リングの高周波焼入れ
3.6 窒化
3.7 焼割れ
4.熱処理シミュレーションによる問題解決
4.1 シミュレーションの知見からの対策
4.2 国内外での取り組み
材料の弾性および塑性特性を体験的に理解するためのキットの開発
スプリングバック現象がなぜ生じるか説明できますか?
⦁ K. Arimoto, C. Fredriksson, A. Silva and H. Narahara, “Developing a Kit for Experiential Understanding of Elastic and Plastic Properties of Materials in Class”, JSEE Annual Conference International Session Proceedings, 2017, pp. 71-76. (⦁ Wire Bending Template) (⦁ 邦文)
教育用ソフトウェア「Ansys GRANTA EduPack」のご紹介
Ansys GRANTA EduPackは,Ashby法に基づく材料教育用ソフトです.工学,デザイン,科学,持続可能な開発を横断する材料教育を支援するユニークな教材です.